宇賀田直人 デザイン

Doppelzimmerのこと

zakki
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Doppelzimmer(ドッペルツィマー)という名前の歌とアコースティック・ギターのデュオのことを、とりとめもなく長々と綴る。

かれこれ2年以上前、大好きなブラジル人シンガー・ソングライター、マルコス・ヴァーリの「The Face I Love」という曲を、YouTubeでおもむろに検索してみた。本人の歌っている映像は見つからなかったが、世界中の人たちがカヴァーして披露している中に、不思議なお面を被った二人組を見つけ、聴いてみたら素晴らしいハーモニーとギター演奏。その他にも「Brazil」や小沢健二の「大人になれば」などをボサノヴァふうに演奏していて何度も何度も聴いては、すっかりトリコになっていた。

おそらく日本人らしき二人、いったい何処の誰なんだろう? と思っていたら、アトリエ・エーで知り合った平野夫妻の運営するNo.12ギャラリーでライブをやっていたと知り、ええ! と驚き、しかしその後も何度か機会のあったライブにはタイミングが合わず残念ながら行くことがかなわぬままだった。

そうこうしているうちに時は過ぎ、今年CDアルバムを出すことを聞き、さらに4月の頭にライブが文京区の根津教会で行われると教えてもらい、初めての演奏を聞きに当日はいそいそと教会へ向かった。

大正8年に建てられたというだけあり、なんとも素朴な建物で、しかし清潔でいて少し想像とは違う明るい屋内。演奏が行われる礼拝堂の横に待合室のような場所があり、そこでお客さんや出演される方たちがお茶を飲んだりおやつをつまんだりしている。とても優しい雰囲気。先に来ていた友人によく聞いてみるとDoppelzimmerだけでなく、他にもいくつかの出演者がいるイベントということを知った。

そして最初にDoppelzimmerの二人と、もう二人の計四人が出てきた。後で知ったのだが、もう二人とはMomotsubakiというアコーディオン・デュオで、あわせて「ばらきゃべつ」というユニットだそう。四脚の椅子のまわりには色々な楽器が置いてあり、アンプがひとつだけ椅子の下に見られるだけでほぼ生の唄と楽器だけで演奏されるようだ。ライブというか、コンサートや音楽会や演奏会のような呼び方が当てはまるだろうか。それぞれのデュオでの演奏で初めて彼らの演奏を聴くことが出来た。

その後も「ばらきゃべつ」でテンポよくヨーロッパやブラジル、またオリジナル曲などが演奏されていく礼拝堂の音の響きもとても良い。なんだかここではないどこかにいるような気分にもなり、不思議な感動が生まれていた。あっという間に最後の曲で「故郷の空」。聴いたことの有るような無いような古い歌のようで、歌詞の変わった二番がかわいらしくもとても寂しさを感じ、強く印象に残る。その後に出演されたKarluv207というカンテレ/マンドリンという構成のデュオも素敵な音。途中の休憩時間に紹介していただき前述のYouTubeのことを伝えることが出来、場所や雰囲気も含め、じわっと心に残る素晴らしいコンサートだった。

最も気になった曲「故郷の空」のことを帰った後で調べてみると、100年以上も前のスコットランド民謡(Wikipedia)。学校の音楽教科書に載っているような民謡など所謂トラディショナル・フォークの類いに感動したのは、物心ついてから初めてではないだろうか。当人達はいたって好きな曲を演奏しているだけだろうが、「知る人ぞ知る」でもないスタンダードな、しかし古今東西の楽曲選択が、しっかりとした歌唱力と演奏力、解釈の上に成り立っていることにうち震える。

そしてつい先日5月25日にNo.12 GalleryのレーベルからSame TitleでCDアルバムをリリース(No.12 Gallery)。パチパチ。早速近所なのもあって買いに走り何度も何度も聴いている。色々な国の言葉の歌、ピアノや管楽器の音も小さく時折聞こえる14曲が収められた素晴らしい内容。もちろん「故郷の空」も収録。その前の「My Favorite Things」「Irgendwo Auf Der Welt」「Tichá Domácnost」もあわせた後半4曲がとても好き。

CDはNo.12 Galleryのほか、先日サイトを制作させていただいた代々木上原の古書店ロスパペロテスでも販売されていたことは確認。そして今週6月5日/6日には目黒通り沿いのClaskaにて「D♥Y」というイベントでライブが行われるそう。これから色々な場所で演奏を聴くことができそうで、楽しみ。